自立と働き方改革 |
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女性の自立と働き方改革/陽子のアナログ経営学 |
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第2節 沖縄研修旅行の計画 |
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6回目セミナー後の居酒屋で |
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6回目のセミナー後の居酒屋さんで、鈴木さんから次のような提案がありました。
「6回目のセミナーが終わって、セミナーの進行状況の様子がわかってきたと思います。
7回目からの進行役は、3人が順に担当していただくことになります。ご承知いただいていますよね!」
「はい!」
「セミナーでは、皆さんの情報収集力や観察力、そして説明力を確認させていただきました。
アルバイトの募集で合格された3人ですが、6回のセミナーを終えて、次のステップに向けての試験も合格しました。
少し先の話ですが、セミナーは、12月に15回目が実施されて終了になります。
それで、1月に次の研修を受けていただきたいと考えています。
その研修は、女性の自立と働き方改革にはとても重要だと、私は考えています。
その研修は、アルバイトではありません。ですから、参加するのは任意です。
できれば3人に参加していただきたいのですが、皆様にも都合があると思います。
それで、11月に実施される8回目のセミナーのときまでに参加の可否を教えていただければと思います。
申し込みが必要ですから!」
「鈴木さんは、何かもったいぶっていますが、どのような研修でしょうか?」
「実は、沖縄旅行に同行していただく研修です。
男性の僕としては、セクハラを指摘されるのではないかと少し不安がありました。
僕が思っていた以上に皆さんが活発でしたので勇気を出して提案させていただきました。」
「と言うことは、寝るのは鈴木さんと同室ですよね!沖縄では、何泊するのですか?
私は、同室でも大丈夫です。お二人も大丈夫ですよね!」
「私も大丈夫です。具体的に研修の内容を教えてください。」
「沖縄研修旅行は、1月の第2週あたりに出発して、4泊5日の予定です。
旅行会社のフリープランを利用しての沖縄研修旅行になります。
事故のリスクを減らすために、レンタカーは利用しません。
移動は、基本的にタクシーになります。
理沙さんは、同じ部屋で寝てもいいとおっしゃいましたが、僕の計画では男女は、別室です。
そして、この研修旅行の費用は、すべて僕が負担します。
この研修は、僕を、ちょっと経済的に余裕がある少し我が儘なお客を想定して、誘導をし、また対応をすることです。
参加していただいたときは、積極的に行動して、高品質で価値のある働き方を模索して欲しいのです。
そして、皆様の今後の仕事に活かして欲しいと考えています。
僕自身は、贅沢を好みません。しかし、僕のような考えの高齢者は多いと思います。
そのような高齢者に、『沖縄にまた来たい!』と言わせてしまうような対応をしていただきたいのです。
お酒を飲みながら、質問があればお伺いします。」
「鈴木さんに費用のすべてを負担させてしまっても大丈夫でしょうか?
私たちも少しですが、負担しましょうか!」
「僕が勝手に計画した沖縄研修旅行ですから、すべての費用は僕が負担します。また、成果が出ないと困りますから!
そうだ、念を押しておきますが、1名だけの参加の場合は、事故が起きたら困りますからこの研修旅行は中止です。」
「鈴木さんは、必要以上にリスク管理をなさっているようですが、私たちは、鈴木さんに対して危険を感じていません。
ですから、同室で寝てもいいと言ったのです。」
「いや、男女別室でお願いします。」
「私は参加したいと思います。
恵利さんは、旦那さんと相談した後の結論になりますね!」
「いいわね!独身のときは、自分だけで判断できて!
私も参加したいです。夫を説得してみます。」
「私は参加するつもりです。
それで、アルバイトがこのようなお話になって、鈴木さんは、この先にも計画があるのですか?
セミナーでは、賃金をいただきながら、学ばせていただいています。
沖縄研修旅行も、費用は鈴木さんの負担だと言うし、私の脳ミソでは、鈴木さんの考えが理解できません。
ありがたい話ですが、『真剣に、積極的に、大胆に関われ!』と言うことでよろしいでしょうか!」
「この先のことは、あなた方次第と言うことにさせてください。」
「沖縄研修旅行についてお聞きします。
とは言ったものの、私は沖縄に行ったことがないですから、おかしな質問をしますが、水着を着ることはありますか?
大きなホテルには、屋内プールがあると聞いています。水着を着る機会があるのでしたら事前のお手入れが必要ですから!」
「あまり沖縄のことを勉強しないほうがいいですよ!
はじめて見たり、食べたり、触れたりするものは、新鮮に感じて、印象に残ります。」
「鈴木さん、お上手ですね!質問できなくなってしまいました。
鈴木さんは、エッチなお話は、好きですか?」
「僕は、皆さんとはアルバイトの関係ですが、とても新鮮な時間を過ごさせていただいています。そして、緊張をしています。
僕は、皆様のような若い女性に興味があります。
しかし、安易に声を掛けられません。セクハラを指摘されるのが怖いからです。
皆さんに、僕の存在を意識していただき、僕の考えに気遣いしていただいていることに感謝しています。
通常であれば、単なるお爺さんですからね!
それなのに柔らかい話もしていただいて、今は、早死にしたくない気持ちです。」
「私たちのような世代の女性は、年配の男性にもっと関わるべきだということですね!
鈴木さんの嬉しそうな顔を見て、私も嬉しくなってしまいます。
相変わらず特殊詐欺の被害が続いています。
それで、年末になって、リフォーム詐欺の被害も増えているようです。いずれもシニアビジネスの一環です。
やはり、被害を少なくするための対応策には、世代を超えた情報の共有が必要だと思います。
娘さんでも、息子さんでもいいのですが、高齢者は、契約をする前に若い人と相談できるような環境を作っておくおことが必要と思います。
5回目のセミナーで、多くのシニアビジネスが紹介されました。単に『慎重に!』と言ったところで事故や被害は減らないと思います。高齢者は、自分で考え、決断したいと思っているからです。
『私は大丈夫!』という自負が事故や事件を増やしていると思います。
高齢者は、知識や経験が豊富であることを自負して生きていますが、過去の栄光やプライドを捨てて若い人と情報の共有をして、一緒に考える態度が必要と思います。
その高齢者との情報の共有は、世代を超えて、遊び感覚で交流することが大切と思います。」
「陽子さんは、意外と真面目なのですね!
私なんか、沖縄に行って、楽しいお遊びができないかと、今から興奮しています。
少しは、そのようなこともありますよね、鈴木さん!」
「だから、理沙さんたちにお任せしますって!」
「また鈴木さんに逃げられてしまいました。」
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7回目のセミナー |
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7回目のセミナーが、11月の第1火曜日に実施されました。
今回も全員が出席しています。
「本日からセミナーの進行役は、私たちの持ち回りで実施することになっています。
最初は、私、陽子が担当させていただきます。よろしくお願いします。」
「鈴木さんから、沖縄研修旅行の計画を聞かせていただいて、年配の男性と若い女性との情報の共有や接点について話題になっています。
とても興味はありますが、話題を変えて、今日のセミナーのテーマは、『インバウンドについての功罪!』です。
本日は恵利さんに説明をお願いします。」
「恵利です。よろしくお願いします。
コロナがほぼ終息して、多くのインバウンド観光客が日本に訪れています。
一部の国や地域の場合は、まだ本格的ではありませんが、全体の数では、ほぼコロナ前の状況に回復しているようです。
インバウンド観光客が増えているのは、日本独自の文化や風景、四季、日本人のやさしさ、そして、円安があると言われています。
世界の人たちが仲良くなるためには、お互いの文化や生活を知り、交流することが必要です。
そのための往来であれば、インバウンド観光客の存在は意味があります。そして、何よりも観光業界が潤います。
でも、インバウンド観光客が増えて潤う経済は、私は、あまり好きではありません。
と言うのは、オーバーツーリズムで代表されるように、地元の人が迷惑を被るからです。
私の近くに大きなショッピングセンターがあります。
ショッピングセンターに訪れる人は気にならないかもしれませんが、土日や祝日には交通渋滞が発生し、地域の人たちは、買い物に出掛けるときは、仕方がなく遠回りすることになります。
そして、遠方からのお客様の運転は、とても荒いような気がします。地理になれていないからと思います。ショッピングセンターの建設で、地元の人には何の得もなく、迷惑だけを被っているのです。
有名な観光地は、さらに大変な迷惑を受けていると推測できます。
地元の人が、公共の交通機関を利用できない事態にもなっていると聞きます。
次に、外国語表記があちこちに多すぎます。場所によっては、外国に来たと錯覚してしまうほどです。
海外からの観光客が日本独自の文化や風景、四季、日本人のやさしさに触れたいのであれば、外国語の表記は必要ないと思います。
京都や鎌倉のような歴史の街に外国語の看板が目立てば、もはや歴史の街ではありません。
観光客誘致を積極的に行っている国や地域は、有力な地場産業が無いことが理由だと聞いたことがあります。
東南アジア諸国と日本の歴史を振り返ってみてください。
以前、日本人は、海外旅行に積極的でした。そのころ、日本の観光客を迎えていたのは、その地域で海外に出稼ぎに行けない人たちでした。
東南アジア諸国から海外に出稼ぎに出ていた人は、それなりに学問を受け、また度胸がある人たちです。
そして、適度に経済的に豊かになっています。
今の日本は、どうでしょう!
人口が多い中国が経済発展をして、GDPにおいて、日本は中国に抜かれました。アメリカ、中国に続いて、日本は3番目です。と言いたいところですが、最近、日本より人口が少ないドイツに抜かれようとしていることが話題になりました。
日本に有力な産業が無く、円安もあって、語学が達者で勇気がある人は、海外に出稼ぎに行っている始末です。
日本の最低賃金が1,000円そこそこなのに、アメリカや欧米などは、2,500円から、3,000円です。
さらに労働力を必要とする企業やお店では、時給5,000円も珍しくないと言います。
インバウンド観光客を迎え入れれば、観光業や宿泊施設、飲食店などは繁盛します。
ですが、日本をダメにしてしまうような気がします。
少し田舎に行けば、畑には人間の背丈を超すような草が茂っています。
後継者がいなく、耕す人がいなくなっているのです。
そして、海外からの輸入が増え、日本の食の自給率は一向に上がりません。
私は、インバウンド観光客の誘致の熱量を少し地方や都会の周辺に向けたらと思っています。
都会では、高層ビルがどんどん建ち、億単位で販売される高層マンションも建ち続けています。
そのマンションを投資用に外国人が購入している話を聞いて滑稽に思いました。
そのようなマンションに賃料を支払って日本人が住んでいると聞いたからです。
それで、若者がどのようなところに住んでいるかと言うと、共同便所、共同の厨房、共同の浴室のシェアハウスらしいのです。家賃が高騰してシェアハウスでないと住めないらしいのです。
話が少し反れてしまいましたが、私自身は、インバウンド経済に頼るのは良くないと思っています。
また、そのような政策は間違っていると思います。
混雑するし、混雑をすればストレスが増大し犯罪も増えます。
そして、物価が高騰し、ホテルなどの宿泊費が高くなります。
それで、誰が潤っているかと言うと、最初に言ったように観光関係の事業者で、地元の人たちは迷惑を被っているだけです。
観光族と言う国会議員がいると聞いたことがあります。
観光に関しても利権があるのであれば、インバウンド観光客の積極的な誘致は考え直す必要があると思います。
それで、対策としては、インバウンド観光客の毎月の入国者数を決めればいいと思います。そして、価値を落とさない日本文化や自然を海外の人に見て、体感していただけばいいのです。
このことは、同様な状況が沖縄にあると聞いています。
沖縄のホテルなどに投資されても、利益は、海外や東京などの大都市にある本社に吸い上げられているようで、地元の沖縄は、潤っていません。潤っているとすれば、土建業者や建設業者と言われています。当然そこには、利権もあると思います。
地元が潤っていないその実情は、沖縄が、都道府県別の最低賃金が継続的に最低だと言うことでもわかります。
どこかで、沖縄経済は、日本の縮図だと聞いたことがあります。政府が補助金をばら撒いても、沖縄県民の懐には届いていないようです。
そのようなこともあって、私は、沖縄のニュースを見つけたときは、注視して読むようにしています。
少し話題が飛びましたが、以上です。」
「恵利さん、ありがとうございました。
里沙さん、何か質問とか意見とか、ありますか?」
「里沙です。
恵利さんは、あまりにも知識が豊富そうで、主婦らしくない説明をしていると思います。
どこで勉強をしているか、知りたいです。」
「はい!特に勉強をしているわけではありません。
テレビで話題になっていることなどは、聞き流さないようにしているだけです。
そうそう、鈴木さんのアルバイトの資料整理で、インバウンド経済や沖縄のことが書かれていた資料を数多く目にしました。
単に資料を整理するだけではなく、鈴木さんに内緒で少し読ませていただきました。その結果なのかもしれません。
興味がある情報は入りやすいと言われますが、そのような感じです。」
「鈴木さんは、私たちのやり取りを聞いていただけなのですが、何か意見などはあるのですか?」
「すでに皆様に進行役をお任せしていますので、僕は何も言いません。
聞かせていただければ、それで結構です。」
「それでは、今日のセミナーは終了します。少し休憩して、それぞれの作業に移ってください。」
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セミナー後の居酒屋で |
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7回目のセミナーと作業が終わって、今日も居酒屋さんです。4人が揃いました。
「セミナーなのですけど、鈴木さんは、毎回、意見や質問をしません。それには、当然、理由があると思います。
通常、何かを発表すれば、評価をいただきます。
それで、説明の内容が良かったのかどうか不安があります。
鈴木さんは、今後も同じような、お考えでしょうか!」
「陽子さんは、良いところに気が付きましたね!
皆さんの説明に、僕が色を付けてはいけないということです。
説明の内容が自分のものではなくなってしまうからです。
以前、セミナーで『事実を正直に語る!』と書いたポスターの話がありました。
説明者が体験した事実を説明して欲しいからです。飾らないで、背伸びしないで説明して欲しいからです。
僕は、『対面、体験、体感』を重要視しています。
自分が直接確認をしたことであれば、大きな間違いはありません。
万が一説明の内容に間違いがあったとしても、自分が体験したことであれば、堂々と説明できるはずだからです。
自分自身が考えた意見も同じです。」
「鈴木さんは、私たちのアルバイトの応募で何人かの中から採否を決めています。
決めた最大の理由を聞かせてください。」
「通常、人間は、1回や2回程度対面したからと言って優劣は付けられません。
ですから、特に根拠があって決めさせていただいたわけではありません。
それで、中身がわからないので、見た目で可愛い女性を選ばせていただきました。
対面していても、会話をするにしても、可愛い女性のほうがいいじゃないですか!
ですから、自信を持ってください。」
「私たちのことを可愛いって!嘘でも嬉しいわ!
私の場合、可愛いと言われたことは少ないし、そんなことを言われたら、心が奪われてしまいそうです。」
「里沙さんは、表現がお上手ですね!
この世の中では、可愛いことは、お得ですよね!
多くの人は、可愛い女性と、そうでない女性がいたら、可愛い女性を選びます。
皆さんは、『メラビアンの法則』と言う言葉を聞いたことがありますか!
その『メラビアンの法則』によると、人間が他人を受け入れる4っつの要素があるようです。
その一つ目は、外見、服装、表情です。二つ目は、態度、姿勢、しぐさです。そして、3つ目は、話し方、声の大きさ、抑揚です。最後の4つ目は、話の内容です。
人間は、見かけで選択することが優先され、話の内容は、二の次なのです。僕が可愛さで選んでいることには、ちゃんと理由があるのです。
逆に言うと、人間は、見かけだけでは、本心や本質はわからないと言うことになります。
僕は、アルバイトをお願いすることについては、安心できそうな人を優先しました。」
「可愛いから選んだことの理由は嬉しいけど、その先、中身を見られて却下と言うこともあるわけですね!
表面は簡単に変えられても、中身は簡単には変えられませんから!それが沖縄研修旅行のような気がします。
鈴木さんは、私たちを観察すると言うし・・・!」
「僕は、ごく普通の老いた男性です。ただ、蓄積した知識が少し多いだけです。年の功ですよ!
それから、可愛い女性とそうでない女性のお得勘定の違いがわかりますか?
可愛い女性とそうでない女性が二人いて、ほとんどの人は、当然、可愛い女性のほうを選びますね!
でも、可愛い女性の要素を整理するのは簡単ではありません。
女性の立場で構いませんが、可愛い女性の条件と言うか、要素を挙げてください!」
「まず、外見ですが、小顔でスマートな体形の人です。
好みにもよりますが、身長が高い人、太っている人は、可愛い部類には入りません。
太っている人の中には、可愛く見える人もいますが、真に可愛いという部類ではないと思います。
目が適度にクリっとしていて、薄化粧でいられる人です。
そして、清楚で、汚れていない人です。さらには、ユーモアが理解できて、ときどき冗談が言える人です。
だいたい、そのような感じでしょうか!」
「そうですね!ほとんどのことは、皆さんに当てはまりますね!」
「もう一つあります。禁煙の人です。
喫煙は本人の自由ですが、他人に迷惑をかけることが頻繁にあります。
他人に迷惑を掛けない人は、可愛い人の原点だと思います。」
「そうですね!そのようなことも重要だと思います。」
「ところで、鈴木さんは、何を私たちにさせたいのですか?」
「特に難しいことを考えているわけではありません。
沖縄研修旅行では、『研修』にすることでいろいろなメリットがあるからです。」
「私には、よくわかりませんが、あまり詳しく知らないほうがいいですよね!」
「まあ!
ところで、皆さんに、このところ何か違ってきたことはありますか?」
「いろいろと、観察するようになりました。
セミナーは、この先8回あります。今は、ほぼ中間地点ですが、うまく説明したいと考えるのは通常です。
それで、安易に見過ごさないようになっていると思います。」
「そうであれば、セミナーは、それなりに効果があることになりますね!
いい意味での競争心が高まると言うことですね!
無駄になっていないことで安心しました。」
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第8回セミナーの実施 |
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今日は、10月の第4火曜日です。8回目のセミナーの日です。
「今日のセミナーを開始する前に、沖縄研修旅行への参加の可否を確認させてください。
それぞれお伺いします。」
「理沙です。喜んで参加させていただきます。
費用を負担していただけるなんて、何か魂胆がありそうですけど、参加しないのはもったいないじゃないですか!
それから、私は、鈴木さんのエッチな言葉や行為でもセクハラを指摘することはありません。
ですから、安心して行動してください。」
「恵利です。私も参加させていただきます。
女性が3人参加することを前提に、夫は了承してくれました。
何で、夫の了承を得なければならないのか少し疑問を感じましたが、夫婦と言うことで、この場は納得することにしました。
せっかくの沖縄旅行ですので思い切り楽しませていただきたいと考えています。」
「陽子です。参加させてください。
アルバイト中のセミナーがあって、沖縄研修旅行で、それも費用を負担していただいていることに、少しだけ怖さも感じています。
でも、私自身、処女ではありませんし、鈴木さんに求められれば応じるつもりです。」
「全員が参加と言うことでよろしいですね!それでは、準備をさせていただきます。
出発は、来年の1月の第2週あたりを予定し、4泊5日です。出発日は、決まり次第お知らせします。
これで、私からの確認は終了です。セミナーを進めてください。今日の進行役は、どなたですか?
恵利さんですか。恵利さん、よろしくお願いします。」
「恵利です。ここに居る3人は、パート勤めです。それで、本日のテーマは、『パート勤め』についてです。
パート勤めには、正社員などと違って、いろいろな長所や短所があります。
また、それぞれにパート勤めをする理由があると思います。
それで、『パート勤め』について、説明を理沙さんにお願いしたいと思います。
最初に、パート勤めをしている理由ですが、理沙さん自身の理由を説明していただきます。
その後に、『パート勤め』の長所と短所を説明してください。」
「理沙です。あまりにも身近なテーマで、意識して考えたことがありません。
えーっと!最初にパート勤めをしている理由ですね!
私個人としては、生活費を稼ぐことがいちばんの目的です。正社員でいれば、もっと稼げるかもしれませんが、会社や上司に拘束され、指示されるのが好きではなく、パート勤めに留まっています。
収入は少ないですが、ストレスも少ないことがパート勤めを続けている理由です。
パート勤めの長所は、何と言っても自由だと言うことです。
責任を負うような職位で仕事をしているわけではありませんので、比較的休日が取りやすいのは、長所だと思います。
今日のような人手不足の時代では、高い賃金を望まなければ、我が儘な気持ちで仕事を続けることができます。
次は、特に高度な技術や知識を求められないことです。
職場の上司の指導の範囲で仕事をしていれば、おおむねパート勤めを続けられます。職場での昇格を求めなければ、気楽に働くことができます。ほとんどの場合、資格や学歴を求められることはありません。
さらには、責任レベルの低さです。業務の失敗をしても、お客様に迷惑をかけても、私自身が特に責任を負うことなく、多くが『済みません!』で終わってしまいます。
次は、パート勤めの仲間で情報交換の場を確保できることです。
ファミレスなどで主婦同士が歓談しているのを見ますが、多くは、職場仲間と思います。パートの主婦から聞いた話では、職場や家庭、学校などの不満や愚痴を言い合って、ストレス解消をしているようです。
パート勤めは、ストレス解消の仲間作りをするための場になっているようなのです。特に家庭での不満も環境を変えることでストレスの解消になっていると思います。
最後に、何となく働きに出て、社会参加をしている自分の存在を確認し、安心の材料になっていることだと思います。」
「パート勤めの欠点も、いろいろあると思います。
まず、安価な賃金で雇われることです。これは、勤務や休日などにおける自由度や責任性などと関係しています。
次は、長時間働かせてくれないことです。所得の壁を超えると会社側の負担が必要になってくるからです。所得の壁は、年間所得が103万円を超えると扶養控除の対象外になり、130万円(企業規模によって106万円)を超えると、社会保険への加入が必要になります。
そのため、短時間勤務を強いられ、多くを稼ごうとすれば、ダブルワークやトリプルワークが必要になってしまいます。
最後に、パート勤めを長く続けていると、いろいろな面で自由度が高く、拘束されることが多い正社員になろうとする意欲が失せてしまいます。
そうなると、自分磨きも怠るようになって、SNSやスマホゲームなどで時間を潰すことになってしまいます。
友だちに聞いた話ですけど、パートの転職すらも面倒になってしまうようです。」
「パート勤めの特徴的なことは、漠然と『もう少し賃金が増えればいいな!』的な考えで働いている点です。
それは、パート勤めの目的が収入ではなく、居場所の確保と気楽な生活だからです。
賃金を増やそうと思えば、知識や技術の習得をし、貪欲に賃金を上げようとする働き方が必要ですが、その考えがありません。
そのため、経営者は、パート労働者に責任を負わすような仕事を与えず、間に合わせ的に使用すればいいからです。
それで、必要度が低下すれば、労働者に休日を与えればいいのです。
パート勤めの場合、勤務時間を減らすために、ほとんどはシフト制を組んでいます。労働時間を減らすように組めば、いいだけのことです。
これらのことを総合して考えると、パート労働者自身が安価な賃金を容認していることになります。
そのパート賃金の上昇を抑制する手助けをしているのが、都道府県別の最低賃金制度だと思います。経営者は、競って、最低賃金に近い賃金で新たなパート労働者を募集しているのです。」
「以上がパート勤めの長所と短所ですが、私は、労働や向上意欲が低下している自分を考え直すために、こちらのアルバイトの応募をさせていただきました。『自立と働き方改革』というテーマに惹かれたからです。
ですが、このアルバイトは、平日の午後2時半から5時半までの3時間です。
毎週、この時間にアルバイトができるのは、正社員では、ほぼ不可能です。どちらかと言うと、無職か専業主婦、休日が自由にとれるパート勤めが条件になってきます。
それで、このようなアルバイトの存在を知り、このように学ばせていただいているのは、パート勤めとして最高のご褒美をいただいたような気がしています。すでにパート勤めから脱出したいと考えていた時期だからです。
以上です。」
「理沙さん、ありがとうございました。
陽子さん、質問や意見はありますか?」
「陽子です。理沙さんの最後のお話、私も同じです。
このアルバイトは、パート勤めだから巡り会えたのだと思います。鈴木さんには、ただただ感謝です。」
「進行役が口を挟んではいけませんが、私も同じです。
パート勤めだから巡り会えたアルバイトですが、パート勤めから脱出しようという意識が高まっていたことが功を奏していると思います。
それでは、今日のセミナーは終了です。
少し休憩をして、お掃除担当の方は、時間に余裕がありますから、特に念入りにお願いします。」
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セミナー後の居酒屋で |
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8回目のアルバイトが終わって、4人で居酒屋さんに行きました。
セミナー後に、居酒屋さんに来るのは4回目で、徐々にセミナーと居酒屋さんでの歓談における話の内容の違いがわかってきたように感じます。
「恵利さん、沖縄研修旅行の件、ありがとうございます。
旦那さんの同意をいただいたのですよね!
3人が一緒に行くことができるのは、良かったです。」
「嫌な言葉ですね!なぜ夫の同意が必要か、です。
私としては、『1月の上旬に、何人かで沖縄旅行に行きます!』と言うことの報告でいいと思っています。
結婚をして、同じ屋根の下で生活をしていますが、日ごろから夫婦らしいことをしていないからです。
もちろん食事や掃除、お風呂の準備は、私がしています。でも、私が求めている夜の営みは、ほとんど応じてくれません。
これでは、夫婦とは言えないと思います。私が高齢なら仕方がありません。でも、現在、私は20代です。
毎日でもして欲しい年代です。
だからと言って、浮気を許してくれるような人ではありません。
手に入れた獲物は、自分だけのもので、他人には手を触れさせない考えの人なのです。
結婚とは、いったい何なのでしょうね!」
「結婚をしていると、大変ですね!
自分以外の脳ミソの同意が必要なのですね!
私は、私自身が自立して、夫と対等の立場で話ができるまで結婚をしないつもりです。
このことは、セミナーを受けて、さらに考えが強固になりました。
私の場合、拘束を逃れて正社員を辞めてパート勤めをしています。
結婚をすれば、夫に拘束されるのは目に見えています。ですから、結婚はもう少し先です。
でも、恵利さん!沖縄に行ったら、思い切り羽を伸ばしましょうよ!
少しだけ年配ですが、鈴木さんという男性もいますし!」
「そうよ、恵利さん!沖縄に行ったら、思い切りストレスを解消しましょうよ!
旦那さんがいないのですから、独身のつもりで!
お願いをしたら、やさしい鈴木さんのことですから、恵利さんが要望していることに応えてくれるはずですよ!」
「里沙さんと陽子さん、そんなに煽らないでくださいよ!」
「私は、大丈夫です!
最近では、素敵な男性を見ても、興奮しなくなっていますから!
長い間、男性を意識して生きることを中断していますから!」
「それはもったいないですよ!
恵利さんは、結婚をしていても、まだお若いし、お子様もいないわけですよね!
そして、旦那さんが相手をしてくれないのであれば、独身の女性と同じじゃないですか!」
「そうは言っても、すでに私がダメなのです。
素敵な男性を前にしても興奮しないのです。」
「沖縄に行けば気が変わりますよ!
本土は、寒い冬ですが、沖縄は、常夏の島と言われれているように、暖かい気候ですし、その環境の中に入れば、開放的になると思います。」
「そうですよね!暖かければ薄着になりますし、心も開放的になりますね!
だから、鈴木さんは、若い女性が開放的になる沖縄を選んだのではないですか!」
「皆さんの推測は、確かに当たっています。
このように、お酒を飲みながら会話するときもそうですが、暖かい気候であれば開放的になり、会話も軽快になると思います。
それで、沖縄を選んでいます。皆さんが、開放的になることの期待は、ありますよ!」
「そうなのですが、鈴木さんの期待は、私たちの肉体より会話ですよね!
どのような話をするのかに興味があるのですよね!そこが、鈴木さんの、普通の男性との違いです。
私が思うのは、鈴木さんは、私たちの肉体より、その先にあるものだと思います。
具体的にはわかりませんが、鈴木さんには、大きな計画があるのですよね!
そうでなければ、男性なら、私たちのような可愛い女性の肉体を期待するはずです。」
「そのようなことを言われて、困ったなあ!
当然、皆さんの可愛い肉体に興味がありますよ!しかし、露骨に表現ができないじゃないですか!
『スケベ親父』の烙印を押されてしまっては、一緒に沖縄に行けなくなってしまいます。」
「ほんと、男女の関係って難しいですね!
引っ張り合うものがあるのですが、それを阻むものもあります。
知恵の輪やゲームのようです。」
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