自立と働き方改革 |
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女性の自立と働き方改革/陽子のアナログ経営学 |
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第1節 アルバイトでの仕事 |
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セミナーの練習 |
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勤め先の年配の男性(研究所の所長のようです)が、アルバイトの3人を前にして、話を始めました。
まだ暑い9月の第3火曜日の午後です。
「こんにちは!15回実施するセミナーの3回目を実施します。今は、午後の2時半ですね!
セミナーは、90分間です。セミナーが終了したら15分間の休憩、その後は、それぞれ、終了時間まで決められた作業をしていただいて、本日のアルバイトは終了です。
それから、前回も申し上げましたが、スマホの着信音は消して、充電をしたい方はコンセントを利用してください。
セミナーでの飲物は、こちらで用意します。今後、希望する飲物があれば提案してください。
9月になっても暑い日が続いていますので、エアコンの温度設定を少し低くしています。
室内温度の希望があれば、自由に温度調整をしてください。
作業が終わりましたら、本日の報酬をお支払いします。現金と領収書を用意しておきますので、領収書に署名をして、現金をお持ち帰りください。」
「・・・」
「準備はできましたか?
よろしければ、本題に入ります。
少子化が社会問題化しています。そして、人口減少が続いています。
厚生労働省の報告では、2024年の出生者数は、70万人を下回るようです。
少子化と人口減少は、経済人の立場で考えれば、労働力の不足と消費の減少に直結し、経済の衰退を意味するようです。
さらには、少子化が女性の責任であるかのような意見もあります。
そこで、今回のセミナーでは、少子化について考えてみたいと思います。
『少子化及び少子化対策について!』のテーマで、陽子さんに説明をお願いします。
3分程度で整理をして、説明を始めてください。説明は、4時までに終わらせてください。
時間が余ったときは、お二人から質問をお受けします。
それでは、これからは、陽子さんの時間です。よろしくお願いします。」
「はい!」
『はい!』と返事はしたものの、突然の指名で、お話しする内容を整理できません。
最初は、自己紹介からです。
「私は、陽子と申します。
大学生のとき就活をして、3社から内定をいただきました。そして、その中のひとつの会社に入社しました。
4月になって、いよいよ社会人の第一歩を踏み出すことになりました。
オリエンテーションが終わり、配属が決まり、環境に慣れてきたと思ったら、GWです。
それで、GW後に、配属された部署で、新入社員歓迎会を実施してくれました。
新入社員歓迎会は、実質的には飲み会で、新入社員は、上司や先輩社員のお世話係を指示されました。
私は、歓迎会での私たちの立ち位置に疑問を感じました。
新入社員同士の話では、酔った勢いで、先輩社員とラブホテルに行ってしまった女性もいたようです。
実は、その新入社員歓迎会が原因で、私は、会社を6月末で辞めました。歓迎会の席で、身体を触られたからです。
男性に身体を触られたことが嫌なのではなく、場所をわきまえない上司が嫌だったのです。
3ヶ月間だけの正社員(たぶん、試用期間扱い)で、その後は、飲食店やスーパーなどでパートとして働いています。
ダブルワークのパート勤めの収入は少なく、いっぱいいっぱいの生活をしているのが実際のところです。
現在は、預金や投資どころの話ではありません。」
「収入的には、会社勤めを我慢できなかった自分を反省していますが、パート勤めで良かった点もあります。
それは、私がここに居ることです。
この場所に居て、何となくですが、自立を学べそうな気がしたのです。
と言うのは、今回のセミナーは3回目ですが、このセミナーは、アルバイトの中で行われています。
賃金をいただいて、セミナーで学べる幸運に出会ったことです。
と言うことは、セミナーを実施している所長さんには、何らかの意図を感じるのです。
賃金を支払ってでもセミナーを実施しているのは、所長さんに何らかの魂胆があるということです。
それで、私は、所長さんの魂胆に賭けてみようと思いました。」
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少子化と少子化対策について |
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「前置きが長くなってしまいました。
本題の説明に入らせていただきます。
まず、『少子化と少子化対策について!』ですが、少子化に至っている原因を確認する必要があります。
原因が確認できた後に、その対策を考えることになります。」
「少子化の原因は、敗戦後、米軍の進駐によって、社会の体制が大きく変わったことです。
アメリカは、日本が戦争を起こす原因を、武士道や家制度を基本にした組織や慣習にあると判断していたようです。
米軍は、社会に影響を与える財閥を解体し、農地解放を進めました。同時に家制度から個人の権利を優先した体制を作りました。個人の自由を優先する社会を作り上げたのです。
折しも、朝鮮戦争特需で、日本は経済発展をし、多くの人が都市に移動し、急激に核家族化が進行しました。」
「経済発展が顕著になって、核家族化が進み、都会で仕事をするようになり、マイホームを確保する必要性が高まりました。
家電製品の進化があり、住宅ローンの返済などもあり、豊かな生活を求め、徐々に女性の社会進出が始まりました。共働きです。
核家族化した家庭が豊かな生活をするためには、多産は好ましくありません。当然、少子化が顕著になります。
日本のさらなる経済発展で、個人が自由を満喫し、自分たちが豊かな生活をするためには、少子化は必然です。
子供がいると、親の遊びや行動が制約されてしまうからです。
そして、バブルの崩壊です。」
「長いデフレ経済が続き、節約が消費の主流になってきました。でも、一旦知った個人の自由を抑えることはできません。
多くの人は、自分たちの豊かな生活と自由を優先させ、豊かさと自由を阻害する出産と育児を後回しにしたのです。
最近では、さらに進み、経済的に余裕がない若者の、結婚離れが顕著になっています。
結婚をすると、自分の自由が制約されてしまうことを知ったからです。
ましてや子供がいれば、さらに行動を制約されます。
それらを考えれば、少子化は当然の現象です。」
「『おひとり様』生活の気楽さを経験すると、気遣いが必要な人間関係が煩わしく感じてきます。
そこに拍車をかけるように、デジタル化です。
スマホやパソコンでゲームを楽しみ、SNSを追い掛ける毎日でも生活ができる時代です。
さらには、食事などの宅配サービスの充実です。
引きこもりでも、人間関係が疎遠でも、支障なく生きていくことができます。
『人間は、一人では生きていけない!』と言いますが、今の時代は、人間関係から離れて、一人のほうが生活しやすいのです。
そのような時代ですから、出産や育児の煩わしさをあえて経験する必要が無くなってきたわけです。
事実、私もアパートでひとり住まいをしています。
少ない収入ですが、自由を謳歌し、今の時点では、結婚や出産を意識する必要はありません。
でも、本音を言えば、自分の子供は欲しいです。
今後、どのような形で出産と育児ができるかを考えてみたいと思います。
このような感じで、私の説明でうまく伝わっているでしょうか?」
「大丈夫です!」
「ありがとうございます。続けます。
私は、少子化が進んでいるのは、社会現象の流れだと思いますが、自由の履き違いも影響していると思います。
自由には、ある程度の義務や制限が伴います。
しかし、今日の自由は、『自分勝手』のような気がしています。
出産や育児を女性の義務とは言いませんが、出産や育児が、女性の行動を拘束してしまうのは事実です。
その自分勝手が少子化を進ませているような気がしています。個人の楽しみや自由を優先させているからです。
そのことは、子供を軽視することにも繋がっているような気がしています。子供の虐待や嬰児や乳児の遺棄や放置などです。
そのような社会の中で少子化を止めるのは容易なことではないと思います。」
「次に少子化対策です。
少子化対策を考えるときには、最初に、女性にも責任があると認識するべきと思います。
失礼な言い方ですけど、男性に限らず、ほとんどの人は、出産や育児は、女性の仕事であると考えています。
確かに実際に出産するのは、女性です。
そのような男性優位の社会を受け入れてきたのは、女性も共犯だと思います。
その意識を持って女性が自由を謳歌しようと考えても、急に社会や男性は変わりません。
女性が不満を言えば、子育て世帯への補助金や給付金など、小手先の政策で女性が誤魔化されてしまいます。」
「それで、私が考える少子化対策ですが、それは、社会の体制やルールを女性の目線で整備することだと思います。
現在、制度やルールを決めているのは、保身や政争に明け暮れている年配の政治家です。
彼らは、もはや経験を活かすとか、将来のビジョンを語る意思や意欲は、まったく失せています。残念ですが、そのような国会議員を国会から追放するのです。
そのためには、女性が投票に行くことが重要です。
が、さらに大切なことは、政治家の良否を判断するための的確な知識や情報の収集が必要になります。
要するに、女性が国会や政治家の言動や行動に興味を持つことです。的確な情報を得る手段を作ることです。
そのために、まず、若者の重要な情報源であるSNSに頼らないことです。
そして、女性が政治の舞台に立つことです。
男性社会から考える女性の政治参画は、20%とか、30%などと言っています。それでは、政治は変わりませんし、いままでのように、小手先の政策で誤魔化されてしまいます。
女性の政治参画が比率で表現されているようでは、女性の自立は、あり得ません。
議会で居眠りをしているような高齢の議員は、隠居していただき、自宅の縁側で寛いでいればいいのです。
国会が変われば、地方自治体の議会も変わります。そして産業界も変わるはずです。
少し大げさな少子化対策ですが、私は、女性自身が意識改革をすれば、数年で可能と考えています。
女性は、学ぶことを怠ってきたことを反省するべきと思います。
SNSやネットショップ、安易なお得などに振り回されることなく、情報は自分自身の手で直接収集し、五感で事実を確認するべきなのです。そして、判断力を高めるのです。
実は、私は、このセミナーで大きな魚が泳いでいる姿を見ました。
このようなセミナーを繰り返していれば、遠からず大きな魚を釣り上げられるような気がしています。
以上です。」
「陽子さん、ありがとうございました。
時間はあまりありませんが、陽子さんの説明に対して質問がありましたら挙手をお願いします。」
「はい!」
「理紗さんですね!どうぞ!」
「理紗です。
少子化対策の中で、男性との関係が語られていません。
妊娠するためのセックスと楽しみのためのセックスを、陽子さんはどのようにお考えですか?」
「最近、望まない妊娠が問題になっています。
気持ち良くなってしまうと、ガードが甘くなってしまいます。
でも、それは女性だけの責任ではありません。
男性にも相応の責任があることを明確にするべきと思います。
神様は、罪作りだと思います。男女ともに、ある年齢に達すると生殖機能が高まり、異性との接触を望むようになります。
でも、望まない妊娠を経験するのは女性だけです。
私は、楽しみのセックスもあり得ることだと考えています。
でも、妊娠は、別問題です。育てる覚悟や経済的な余裕や環境が必要だからです。
昨今では、核家族社会ですから、妊娠をし、出産をすると、結婚をしていても女性に負担がかかり、ストレスが高まります。
人間関係が希薄で相談できる人が少なくなっているからです。
ましてや独身の女性が出産をした場合は、私たちが考えている以上に大きな負担を抱えることになります。
『夫が子育てを応援する!』と言う意識も好きではありません。夫は、出産や育児の当事者であるべきと思っています。」
「それで、望まない妊娠を避けるためには、男性にも責任があることの意思の共有が必要になります。
その意志の共有は、女性として、結婚をする相手の男性を見抜く力が必要と思います。
そのためには、SNSやネットショップなどに没頭することなく、男女に限らず、対面して相手の意思を確認し、場合によっては、察する力や判断力を高める必要があります。軽薄に安心しないことだと思います。
男女平等が言われて久しくなります。
男性優位の社会で、いつまでも女性として従属的な立場を受け入れている必要はないと思います。
ちなみに、私は、楽しみのセックスについては、大賛成です。」
「理沙さん、陽子さん、ありがとうございました。
それから、セミナーは、今回が3回目で、説明者が一巡しました。2巡した後の7回目からは、3人が順にセミナーの進行を担当していただきます。
僕は、後ろで、皆さんのセミナーの進行を見学させていただきます。
今日のセミナーは、終了です。これから、5時半まで、決められた作業をお願いします。」
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アルバイトの応募 |
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8月の上旬、スーパーの掲示板に、短期・短時間のアルバイトの募集のチラシが貼られていました。
チラシは、パソコンで作成され、自作のようです。
募集しているのは、毎週火曜日、5時半までの3時間のアルバイトです。アルバイトは、9月から12月までの15回と書かれています。9月から11月までは、月に4回、12月のアルバイトは、3回です。
賃金は、3時間で8,000円です。その賃金には、通勤手当と前後の準備するための10分間の手当を含んでいます。
作業する時間の時給は、2,000円ほどになると思います。
仕事の内容は、資料の整理、セミナーの見習い参加、1階水回りの掃除です。セミナーの内容は、『自立と働き方改革』と書いてありました。
応募条件は、禁煙者であること、積極的に行動する意欲がある人、そして20才から40才までの女性です。
私は、『自立と働き方改革』というセミナーの内容に興味がありましたので、チラシをスマホで撮って帰って来ました。
私自身は、正社員の道を捨て、パート勤めをしていて、そのパート勤めの矛盾にも遭遇して、働き方を変えようと模索していたときだからです。
採用されるのは3名と書かれていましたので、早速電話をしてみました。電話の相手は、落ち着いた対応の年配の男性のようでした。
私は、3番目の応募のようで、先着順で面接をしていただけるようです。
8月の第3火曜日の午後2時半から、20分ごとに面接が設定されているらしく、私の面接開始時間は、午後3時10分からです。
面接の日、駐車場がないとのことでしたので、近くのコインパーキングに車を停めて、事務所に歩いて向かいました。
事務所は、戸建て住宅の一室のようです。3時10分の少し前に事務所に着くと、事務所がある建物には面接者を誘導する貼り紙がありました。
玄関から入ると、事務室の前には、そこにも張り紙があり、順番待ちの椅子が置いてあり、そこに座って待っていました。
すると、私の前の面接が終わったようで、女性が事務室から出てきました。
少し緊張していた私ですが、入れ替わりに、ドアをノックして事務室に入りました。
「どうぞ!」と誘導され、椅子に座りました。
「こんにちは!清水陽子です。よろしくお願いします。」と言って、履歴書を渡そうとすると、・・・
「履歴書は、採用されたときにお持ちください。そのときにいただきます!」と言って、受け取りませんでした。
「陽子さんですよね!私は、『NK経済研究所』所長の鈴木と言います。
早速ですけど、あなたが描いている将来像というか、展望を聞かせてください。
例えば、どのような働き方をして、どのような人生を歩みたいのか、です。」
「えっ!将来像ですか?
私は、正社員を3ヶ月で辞めて、現在は、パート勤めをしています。
正社員を辞めた理由は、中堅の会社ですが、会社内では女性はお飾りでしかなく、パワハラやセクハラの対象に過ぎないと判断したからです。
パート勤めに変わって、経済的に余裕はありませんが、ここでもやはり間に合わせ的な存在です。
それで、こちらの募集のチラシに『自立と働き方改革』と書いてありましたので、興味を持ちました。
私たちの年代では、多くが仕事を選ぶことより男性を選びます。
ですが、私は、女性としていろいろな経験をして事業をしていければと思っています。
男性を嫌いなのではなく、女性として自立して生きたいのです。また、将来が不安だからです。
経済的な余裕や精神的な余裕を確保できたとき、そのときに結婚を考えたいと思っています。
自分の成長が遅ければ、婚期も遅れますが、そのとき出産できる年齢を超えていれば、そのときは養子を迎えることも考えています。
自分の子供は欲しいからです。」
「それから、女性の立場は、相変わらず低いままです。
それは、直接自分で学ぼうとしない女性の責任もあると思います。
ですが、多くの女性は、学ぶ機会を逸したまま年齢を重ねてしまいます。
そうなると、その子供は、親の背中を見て成長しますので、同じような人生の繰り返しになります。
そのような状況では、いつまでも女性の自立は期待できませんので、女性が自立できるキッカケを提供できる事業ができたらと考えています。
それで、『自立と働き方改革』と言うテーマが気になったのです。
それから、資料の整理、セミナーの見習い参加と言う仕事にも興味がありました。
どのようなことかわかりませんが、関わらせていただくことで、自分の前が開けてきそうな気がしました。」
「そんなに褒めなくてもいいですよ!
僕は、墓場に片足を突っ込んでいますから、少し焦っていたのです。
それでね、最後の事業と思って『NK経済研究所』を始めました。
次の質問です。
陽子さんは、セックスは好きですか?
この質問は、セクハラと受け取られがちですので、答えたくなければ、答えなくても結構です。」
「大丈夫です。私にとっては、セクハラな質問とは思いません。
セックスは、好きだと思います。実は、好きだと明確に言えるほどの経験はありません。経験が少ないからです。
でも、気持ちがいいことをしている実感はあります。
数多く経験をしたいのですが、男性の真意がわからなくて、また、セックスをしたい男性に出会えなくて、躊躇しています。」
「先ほど、将来が不安だと言いました。
どのようなことに対して不安ですか?」
「まず、年金制度がどこまで持続できるのか、わかりません。
その原因は、人口減少と少子化だと思いますが、具体的に解決策が示されていません。
ビジョンや方向性を示されないことにも不安を感じています。
補助金や給付金だけでは人口減少や少子化を止められないと思っています。」
「はい!ありがとうございました。
陽子さんの面接はこれで終了です。
採否の連絡は、明日、電話で行いますが、何時ころ電話をすればいいですか?」
それから、今日の交通費などの手当です。2,000円お支払いしますので、この領収書に署名をお願いします。
「明日は、3時以降であれば、10時ころまで電話をお受けできます。
ほんとうに2,000円をいただいてもよろしいのですか?」
「はい!では、お疲れさまでした!」
「ありがとうございました!
よろしくお願いいたします。」
入れ替わりに、私の次の方の面接が始まりました。
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短期アルバイトの採用 |
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翌日、午後3時少し過ぎたころに、事務所から電話がありました。
無事、採用されました。採用されたのは、3人だそうです。
最初の出勤は、9月の第1火曜日の2時30分です。
合格しましたが、面接で、少し気になったことがあります。
募集しているのは、毎週火曜日、午後2時半から5時半までの3時間のアルバイトです。
アルバイトは、9月から12月までの15回と書かれています。9月から11月までは、月に4回、12月のアルバイトは、3回です。
仕事の内容は、資料の整理、セミナーの見習い参加、1階水回りの掃除です。
セミナーの内容は、『自立と働き方改革』と書いてありました。アルバイトの期間にしても、仕事の内容にしても、あまりにも計画的です。
アルバイトが、毎週火曜日の午後2時半から5時半までの3時間ですから、一般的に考えれば、フルタイムのアルバイトや正社員では、応募できません。それで、パート勤めや無職の女性を募集していることが明らかです。
このことから、パート勤めの若い女性を何らかの意図があって、募集していると思われます。
また、賃金は、3時間で8,000円です。その賃金には、通勤手当と前後の準備するための10分間の手当を含んでいるようです。実際に、作業する時間の時給は、2,000円ほどになると思います。賃金は、作業終了時に現金払いです。
面接のときにもびっくりしましたが、小さな事務所なのに、面接に2,000円の手当てをいただいたことです。
所長は、私たちを拘束するごとに報酬や手当を支払っています。『人間を拘束すれば、対価が必要だ!』と言われているようです。
このことでわかることは、二つあります。一つ目は、『時間を無駄にしないこと!』、二つ目は、『自分を安売りしないこと!』のように感じます。
さらに、『セックスは、好きですか?』と聞かれたことです。
私は、学生時代の就活でも、パートの面接でも、このような質問を受けたことはありません。即、セクハラになるからです。質問をした意図が気になっていました。
所長さんは、年配ですが、若い女性の興味があるのかと思いました。
年配の男性が若い女性とお付き合いをすると、若い人向きの情報が得られ、また積極的に行動をしますので、若返ると言われています。所長は、若返りを期待しているのかもしれません。
以上が、応募から面接までに感じたことです。
これらのことを考えると、所長は、何かを計画しているとしか思えません。
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短期アルバイトの初日 |
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9月の第1火曜日、面接のときと同じように、コインパーキングに車を停めて、歩いて事務所に向かいました。
午後2時30分少し前に到着し、玄関を入ると、そこに張り紙があって、事務室内で待っているように書いてありました。
3人のアルバイト女性が揃いました。事務室では、所長が座って待っていました。
2時30分ちょうどになって、所長が話し始めました。
「みなさん、こんにちは!
今日は、最初の日ですので仕事の概要と注意事項を説明します。
アルバイトの仕事は、大きく3つあります。
一つ目の仕事は、『自立と働き方改革』をテーマにしたセミナーに、練習的に参加することです。
このセミナーは、毎回実施し、全員に参加していただきます。セミナーは、90分間です。
二つ目は、事務所内の資料の整理です。具体的な作業は、そのときに説明をします。
三つ目は、この建物の1階の水回り、トイレと洗面所、浴室の掃除です。浴室以外のトイレと洗面所は、皆さまが自由に使える場所です。
資料の整理と水回りの掃除は、毎回担当を決めます。資料の整理は二人で、水回りの掃除は、毎回ひとりで担当していただきます。
3回目までは、作業の割り振りを私が決めますが、4回目からは、3人が持ち回りで担当を決めてください。
このアルバイトの賃金は、1回8,000円で、その日の終了時にお支払いします。領収書に署名した後に、現金をお持ち帰りください。」
「次に注意事項ですが、アルバイトを欠席した場合、以降のアルバイトには参加できません。
アルバイトの時間内は、スマホや携帯電話を使用しないでください。できれば、電源を切っておいてください。充電は可能です。
これは、アルバイトの仕事に集中していただきたいからです。
言い忘れました。このアルバイトでは、お互いに呼び合うのは、下の名前だけでお願いします。『花子さん』とか、『美佐子さん』とかです。僕は、『鈴木』と呼んでください。
アルバイトの概要は以上です。質問があればお受けします。」
「はい!私は、陽子と言います。
お願いがあります。女性3名の自己紹介をお願いします。
それから、鈴木さん!
私の場合は、セクハラを気にしなくても結構です。曖昧な表現だと、私の脳ミソでは理解できなことが多いからです。ですから、遠回しに言わないで欲しいです。」
「わかりました!
理紗さんと恵利さんは、陽子さんの要望については、いかがですか?
では順に自己紹介をお願いします。」
「私は、恵利と言います。由紀さんの意見に賛成です。私も、ズバリ言っていただかないとわからない私です。遠回しは、苦手です。」
「私は、理紗と言います。陽子さんと恵利さんの意見に賛成です。よろしくお願いします。」
「できる限りわかりやすく説明するようにします。では、3人に自己紹介をお願いします。
自己紹介が終わったら、残った時間でセミナーを実施します。
最初、僕の自己紹介ですね!僕は、鈴木と申します。
僕は還暦を有に越して、墓場に片足を突っ込んでいる状態で、もう少しだけ生きようともがいているところです。
それで、僕の最後の仕事として『NK経済研究所』を始めました。よろしくお願いします。」
「私は、恵利と申します。結婚をしていますが、子供はいません。
それで、未だに独身気分で、パート勤めをしています。言えば気楽な主婦です。そうは言っても、何か物足りなくて、このアルバイトに応募させていただきました。」
「私は、理紗といいます。気楽な独身と言いたいところですが、企業に拘束されて仕事をしているのが嫌で、このアルバイトに応募しました。別の世界を発見できそうな気がしたからです。
先ほど陽子さんが、鈴木さんに対して、セクハラを気にしなくてもいいという話をされていました。同感です。
漠然とモヤモヤした話をされるほうが嫌だからです。」
「私は、陽子と申します。独身です。3ヶ月勤めた正社員を辞めてパート勤めをしています。
私は、パートで良かったと思っています。このようなアルバイトに出会えたからです。
理紗さんがセクハラについて話をしてくれましたが、鈴木さんには、気楽に下半身の話をしていただければと思います。
と言うのは、年配の男性が、若い女性や女性の下半身に、どのように興味を抱いていかがわかるからです。」
「自己紹介が終わりましたので、セミナーの手順を簡単に説明します。
セミナーは、最初の6回までは僕が進行役です。が、7回目からは皆さんが順に進行役を担当していただきます。順番は、3人で決めてください。
進行役は、回ごとにテーマを決めて、進行役が出席者に予告なしに指名して説明をしていただきます。これはお互いに緊張感を維持していただく効果があります。セミナーでのテーマの事前公開はしません。
質問力と説明力を高める効果があります。
今日のテーマは、『リスキリング』です。日本語では、『社会人の学び直し』と説明されています。
日本では、もともと『生涯学習』と言う言葉があります。何がどのように違うのかも含めて説明をお願いします。
『リスキリング』について、理紗さん、説明をお願いします。
セミナーの残り時間は、35分ほどあります。その範囲内でお願いします。」
「理紗です。私が指名されてびっくりです。
最近、『リスキリング』と言う言葉をときどき聞きます。
まず『リスキリング』についてです。『リスキリング』は、産業界にとって働かせやすい労働者を育成するために積極的になっていることの意図が感じられます。
労働者不足の時代ですので、よりレベルの高い労働者を育成して企業に役立つように学んでいただこうということでしょうか。
私は、政府も一緒になって『リスキリング』を言っているのが気に入りません。
学びは、自分の意思があってこそ効果があります。押し付けられるのが嫌で、拒絶してしまうのは、私だけでしょうか!
もうひとつ、企業が従業員教育から逃げているような気がします。
以前は、企業が積極的に従業員教育を行ってきました。しかし、終身雇用が薄れたことで、企業内での従業員教育を行わくなりました。
それで、今度は、税金の投入も含めて、公費や自己負担で学ばせようとしています。
これは、世界全体の流れのようですから仕方がありませんが、企業の利益優先の体質が気になるところです。」
「一方、『生涯学習』は、そもそも生きていることが学びになっていることの表現だと思います。
そして、どんなに頑張っても学び終えることは無いということだと思います。
昨今の情報量は膨大です。とても吸収、習得できる量ではありません。
それで、『生涯学習』とは、積極的に行動をして、直接自分の五感で感じ取ることだと思います。
自分が体験した事実は、記憶に残ります。その積み重ねが『生涯学習』だと思います。
関連する説明かどうかわかりませんが、痛さは、本人でしか程度がわかりません。
他人からは、血が出ているのを見て、ようやく『痛いだろうな!』と思う程度です。
視覚だけでは程度がわからないのです。
ですから、腹痛の仮病もあり得る話です。
他人から押し付けられて学ぶのではなく、自分の意思で学ぶことが必要だと思うのです。」
「セクハラの話がありました。と言うか、私は、エッチなお話にとても興味があります。
男性の行為や言動について、女性がセクハラだと思えばセクハラになってしまいます。
ですから、男性、特に年配の男性が、セクハラを指摘されることを恐れて、私たちに声を掛けてくれません。中には、セクハラを気にしない男性もいますが・・・
年配の男性は、人生経験が豊富です。たぶん、私たちが知らないようなことをたくさん知っているはずです。
鈴木さんも言っていましたが、知識や経験を墓場に持って行かれては困ります。
ですから、年配の男性には、気兼ねなくエッチな話をして、私たちとの接点を作って欲しいと思います。
絶対に、年配の男性から教えていただくことがあると思います。
以上です。」
「理紗さんの説明を聞いていると、年配の男性の喜ぶ顔が浮かんできます。
理紗さんの説明に質問や意見は、ありますか!」
「恵利と申します。
男性も女性も、ある年齢になるとエッチなことに興味が高まります。特に結婚を意識する前は、興味は最高潮です。
でも、私のように結婚をした後は、夫との交わりが少なくなって、興味が薄らいできます。
それはマンネリだからでしょうけど、エッチなことって、何となく新鮮さを感じます。
本音を言うと、妻と言う枠を外して行動をしてみたいです。」
「陽子です。話を挟んでもよろしいですか!」
「いいですよ!皆さんは、このようなお話が好きですね!」
「そうなのです。女性が3人寄れば、このような話が多くなります。このような話ができているときは、若い証拠です。
鈴木さんも、私たちといっぱいお話をして、若返りませんか!」
「ありがとう!次回から参加させていただきます。
時間が来ましたから、今日のセミナーは終了です。少し休憩して、作業に移ってください。」
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5回目のセミナー |
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10月の第1火曜日の午後2時半です。本日は、5回目のアルバイトの日です。
それで、5回目のセミナーが始まりました。
「こんにちは!15回実施するセミナーの5回目を実施します。
セミナーは、90分間です。セミナーが終わりましたら、いつものように、少し休憩をして、終了時間まで作業をしてください。作業が終了したら本日のアルバイトは終了です。
セミナーの前に、確認しておきたいことがあります。
本日のアルバイト終了した後に居酒屋さんに行こうという提案がありました。
僕は、居酒屋さんに行くのは大賛成です!皆さんも、それでよろしいでしょうか?」
「そのつもりで、今日は来ました!ぜひ、鈴木さんとご一緒したいです。」
「わかりました。ありがとうございます。
僕のような高齢の男性と一緒でもいいのですね!
アルバイト後の個人的な行動ですから、任意の参加と言うことでご了承ください。」
「年配の男性と一緒だからいいのです。よろしくお願いします。」
「わかりました。僕からもお願いします。
では、本日の、セミナーのテーマです。
最近、特にシニアビジネスのCMが目につきます。僕自身が高齢だからでしょうか!
どのようなことがシニアビジネスなのか、その利点や欠点、注意しなければならないことなどを説明してください。
この説明は、理紗さんにお願いします。
理紗さん、どうぞ!」
「理紗と申します。
5回目のセミナーですが、誰が指名されるのか、毎回緊張をしています。不思議なのですが、指名される怖さと、指名されたい願望や快感が同居しています。これって、よく言われる承認欲求なのでしょうか!
では、説明に入らせていただきます。
シニアビニネスとは、高齢者をターゲットにした商売と、私は理解しています。
代表的なことは、健康食品、健康器具、記憶力改善商品、皺改善の化粧品、若返りに関する商品、頻尿対策、生命保険、投資などがあります。
戸建て住宅などの修理などもシニアビジネスに加えて良いと思います。最近では、生前整理、貴金属等の買取りなどもあります。
投資は世代全体が対象ですが、基本的に若者が必要としない、或いは関わらない商売がシニアビジネスとして多いように感じます。言い換えると、シニアビジネスは、体力や判断力が低下する高齢者を対象にした商売と言うことになります。
いわゆるオレオレ詐欺や特殊詐欺なども対象の多くは、判断力が低下している高齢者です。と言うことで、シニアビジネスは、危険と隣り合わせの場合もあると思います。」
「先ほど、シニアビジネスは、体力や判断力が低下する高齢者を対象にした商売と、失礼なことを言いました。もう一つ、高齢者の特徴的な理由は、いろいろな人生経験を経て、やさしい人間になっているからだと思います。
困っている人がいれば、何とかしてあげたいというやさしい気持ちがあるからです。
また、預貯金が多いと思われていることも、シニアビジネスの対象になりやすいと思います。
ただ、預貯金に関しては、別の見方があります。預貯金が多いからターゲットになるわけではなく、私が思うことは、なんとなく不足している意識があって、『増やしたい!』という願望があるからと思います。これが、投資のターゲットになってしまう要因だと思います。
高齢者だけでなく、『もっと増やそう!』と言う意識は危険です。
また、求めているものは、お金だけではありません。愛情を求めていることもあります。さらに、承認欲求は、年齢を経ても意外と衰えていないのかもしれません。」
「でも、ほんとうに経済的に余裕がある人は、背伸びしないで、質素に生きていて、シニアビジネスに対して距離を置いています。
商品やサービスを新たに手に入れようとするときは、説明書きをよく読みます。
ですから、ネットで安易に申し込みをしたり、購入したりすることはありません。規約などを読まずに同意するようなことは、していないように感じています。
さらに、安易に個人情報を提供しません。生命保険会社のCMで見かけますが、『資料請求で、松坂牛が当たる!』、『資料請求で、神戸牛が当たる!』などには、興味を示しません。
スーパーなどのポイントカードを申し込む際でも、住所や生年月日などを安易に記入することはしません。そのようなポイントカードに興味を示さないのです。
そのような人だからこそ、大きな事故に遭遇することなく、経済的な余裕ができたのだと思います。」
「ここまでで、私の説明の要旨が伝わったと思いますが、多くのシニアビジネスは、スキが多い高齢者をターゲットにした商売だと、私は思っています。
テレビなどのCMで、『個人の感想です!』『撮影時の年齢です!』『医学的に証明されたものではありません!』などが隅のほうに小さな文字で書かれていますが、私は、これこそ高齢者をバカにしていると思っています。
効果があるのかもしれませんが、あるのか、無いのかを明確にして欲しいものです。効果があるのなら、『効果があります!』と表示すればいいし、効果が無ければ、『気休めにしかなりません!』などと表示するべきと思います。相手が高齢者なのですから・・・
それで、このような商売の高齢者への声掛けがとてもやさしいのです。高齢者だけでなく、多くの人がやさしさに飢えていますので、被害者になったとしても、なかなか本人は気が付かないようです。
私の知っている高齢の女性は、健康食品を毎年100万円以上購入し、すでに20年近くになるそうです。総額では、2,000万円以上になります。その人は、収入があるから継続できていますが、通常では生活ができなくなってしまいます。」
「私は、すべてのシニアビジネスが良くないと、言っているのではありません。
ですが、一部のシニアビジネスは、悪質だと思います。悪質な業者は、入り口はやさしいのですが、声を掛けられた高齢者は、悪意に気が付いていないようです。それで、高齢者が被害者にならないようにするためには、世代を超えて情報を共有することだと思っています。
例えば、鈴木さんは、60代か70代だと思います。私たちは、全員が20代です。
鈴木さんの場合は、今回のアルバイト募集などの様子から、単なる高齢者ではないようですが、一般的には、その世代は、情報の質や量が私たちとは違っています。
高齢者が正しいと思っていることが、若者の判断では正しくないことがあります。また、その逆もあります。
ですから、世代を超えて交流をすることは、とても重要なことだと思います。」
「そうだ!今日、アルバイト終えて、居酒屋さんに行きます。
そのとき、私たちのような同世代の女性だけであれば、仕事の愚痴とか、恋バナやエッチな話が中心になってしまいます。
でも、鈴木さんに参加していただけることで、話題が違ってくると思います。それで、どのような話題になるか、興味がありますし、少し興奮をしています。
できれば、世代を超えた居酒屋さんでの交流が継続できると嬉しいです。
以上です。」
「理紗さん、ありがとうございます。
質問や意見は、ありますか?」
「はい!陽子です。
理紗さんは、うまくまとめてくれたと思います。流れが居酒屋さんに及ぶとは思いませんでした。
私も、理紗さんと同感です。」
「恵利さんは、いかがですか?」
「恵利です。理紗さんは、日ごろからいろいろな情報に接しているのでしょう!
世代を超えて交流し、情報交換することは大切ですね!特に、核家族化などで、年配者の意見を聞く機会が少なくなりました。
ネットやスマホのゲームやSNSに振り回されていては、高齢者との情報の共有などできなくなってしまいます。
対面での会話や交流が必要だと実感しています。」
「セミナーの終了時間ですね!
作業が終わりましたら、僕を居酒屋さんに連れて行ってください。」
「連れて行くだなんて!」
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居酒屋さんで |
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駅に近いところにある居酒屋さんに向かいました。
お店の人に、奥のほうの4人掛けのテーブルに案内されました。
「僕は、一人では居酒屋さんに行きません。行きたいのですが、話し相手が居ない居酒屋さんでは、楽しくないからです。
それで、今日は、久しぶりの居酒屋さんです。皆さん、居酒屋さんに連れて来ていただいてありがとう!
恵利さんも、今日はゆっくりできますよね!恵利さんの新婚生活のお話も聞きたいですね!
先に生ビールで乾杯ですね!よろしいですか?」
「乾杯!」
「このお店の費用は僕が負担しますから、気軽に飲んでください。」
「鈴木さん!そんなに負担していただいてもいいのですか?」
「大丈夫です。その代わりと言っては何ですが、楽しく飲んでください。
そして、若い人の話題を聞かせてください。」
「鈴木さんは、恵利さんの新婚生活に興味があるみたいです。私も興味がありますけどね!
恵利さん!新婚生活を披露してください。」
「もう少しいただいてからでもいいですか!」
「旦那さんの了解を得ての居酒屋さんですから、今日はゆっくりできますよね!」
「なぜか、この組み合わせ、緊張しますね!先生と一緒に飲んでいるみたいです。」
「理紗さん、宴会部長をお願いします。」
「女性同士で飲むときは、ほとんどはエッチな話や他人の噂話が中心になります。ほかにもお客様がいらっしゃいますので、ときどき遠回しな言い方になりますが!その次は、仕事に関しての不満や愚痴です。まあ、ストレス解消ですね!
恵利さんは、お子様がいらっしゃらないようですから、独身とあまり変わりませんよね!
お子様が居なければ、夜や休日は、やりたい放題ですよね!ストレスなんて感じないと思いますが、いかがでしょう!」
「そんなことはありません。ストレスは、独身の女性よりはむしろ多いと思います。
確かに結婚をするまでは、やりたい放題でした。お互いに時間が過ぎるのを忘れて頑張りました。それで、毎日どころか、休日は明るい時間から頑張って、3回なんてザラです。その頃は、部屋では、私は、下着を付けていませんでした。
唄にもありましたが、『後ろから前から』です。それで、気持ち良く感じるようになったころに結婚しました。
ところが、そのころから途絶え始めたのです。ですから、結婚してからは、その方面のことに関しては不満だらけです。
独身の女性には、わからないと思います。男性は、手の届くところの女性には飽きてしまうようなのです。
でも、夫は、浮気している様子はありません。それで、1週間に一度程度は、出してあげています。それは、健康のためだと聞いたからです。」
「それで、恵利さんは、欲求不満ですか?
欲求不満は、どのように解消しているのですか?」
「新婚の頃、夫に見せられたAVが何枚かあって、欲求不満を感じたとき、それを見て、自分の指を突っ込んでいます。
先ほども言いましたように、男性は、手の届くところの女性には飽きてしまうようなのです。」
「何で、男性は、結婚をするとそのようになってしまうのでしょうね!
ところで、鈴木さんは、独身ですよね!鈴木さんの場合は、どのように処理しているのですか?」
「僕のことは・・・」
「私に、提案があります。
恵利さんが、2週間に一度程度、鈴木さんの2階の部屋の掃除のアルバイトをすればいいのです。恵利さんは、パート勤めですから、掃除の仕事を組み入れることはできますよね!
鈴木さんは、恵利さんに健康のために出していただいて、恵利さんは、鈴木さんに気持ち良くしていただくのです。
でも、恵利さんは既婚者ですから、鈴木さんとはセックスはしません。一線を超えてしまうと問題ですから!
お部屋の掃除もお身体の掃除も似たようなものです。お互いに綺麗になって、スッキリした気分で過ごすことができると思います。鈴木さんは、いかがですか?」
「相変わらず、理紗さんは、奇抜な提案をしますね!」
「私は、とてもいい提案だと思います。双方がウインウインのアルバイトですよね!
すでに、お互いのことは知っているわけですし、安心してお掃除の仕事ができると思います。
恵利さんは、お仕事だと思ってやればいいし、ストレスや不満は減ると思います。」
「私、理紗さんの提案に興味があります。私も気持ち良くなれるのであれば、報酬は要りません。
鈴木さんのことは信頼できていますし、ぜひお願いします。」
「鈴木さん、緊張しているのですか!
それなら、3ヶ月くらいのお試しで恵利さんにお願いしたらいかがですか?
私は、鈴木さんの若返りを応援しています。」
「そうしようか!
皆さんの積極性には、負けました。検討してみます」
「良かったですね!恵利さん!
決まるかどうかわかりませんが、愚痴や不満は健康に良くありません。楽しく毎日を過ごすことは大切です。
それで、旦那さんのことは今まで以上に大切にしてあげてください!」
「女性の皆さんは、居酒屋さんなどで、いつもこのような話をしているのですか?
結構きわどい話をしているのですね!
なかなか話の中に入れませんが、このような雰囲気を知りたかったのです。」
「私たちも真面目ですけど、鈴木さんも真面目ですよね!
でも、若返りのためには、このような雰囲気の中に居ることは大切だと思います。
それで、もう一つ大切なことは、新陳代謝です。身体の中の老廃物をすべて出してしまうことです。老廃物には、涙や鼻くそ、汗、おしっこ、うんち、老化した皮膚などがあります。女性が濡れるのも老廃物と言えるかもしれません。どこかで読んだのですけど、大切なところの消毒の役目も果たいしているようです。ストレスなんかも老廃物のひとつです。
鈴木さん!恵利さんのこと、よろしくお願いします。」
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6回目のセミナー |
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「10月第2火曜日、6回目のセミナーです。
僕が進行役を務めるのは、本日が最後になります。
7回目のセミナーから、最終の15回目のセミナーまでは、皆さんが順番に進行役を担当してください。
それで、今日のテーマですが、7回目からセミナーの進行役を担当するにあたって、セミナーの実施方法と注意点を再確認するために、陽子さんに、整理して説明していただきたいと思います。
陽子さん、よろしくお願いいたします。」
「陽子です。『セミナーの実施方法と注意点』ですね!
内容を整理しながらの説明ですので、多少、行き違いがあるかも知れません。よろしくお願いします。
セミナー参加者、進行役、それとセミナーの実施方法とセミナーごとのテーマの内容に分けて説明させていただきます。」
「最初にセミナー参加者についてです。
私たちは、鈴木さんの研究所のアルバイト募集に応募し、面接で採用されました。
どのような基準で選ばれたのか少し疑問は残りますが、鈴木さんが意図していることと合致したからと思います。
アルバイトの応募条件は、禁煙者であること、積極的に行動する意欲がある人、そして20才から40才までの女性ということになっていたと思います。私たちは、『自立と働き方改革』をテーマにしたセミナーに練習的に参加するということで、アルバイトの延長上で受けさせていただいています。
このセミナーでは、アルバイトの延長上ということでの参加に、鈴木さんの何らかの意図を感じています。それは、賃金をいただきながら学ばせていただいているからです。
鈴木さんのお考えにもよりますが、このセミナーでは学びの必要性を再確認させていただいています。
そのことを考えると、将来的には有料で参加していただくこともあり得る話と思います。少なくとも、私は、このセミナーに参加して、脳ミソをえぐられたようなショックを受けています。」
「次に進行役です。このセミナーでは、単なる進行役ではありません。
基本的なテーマは『自立と働き方改革』ですが、セミナーごとに進行役は、説明していただくテーマを決める必要があります。そして、予告しないで突然出席者を指名して説明を求めていることが特徴的です。
今回のテーマは、『セミナーの実施方法と注意点』ですが、これは、次回から私たちが持ち回りで進行役を担当することになっているからと思います。
ですから、進行役を安易に考えていると、墓穴を掘ってしまうような気がしています。」
「次に実施方法です。このセミナーの極めて特徴的なことは、進行役が講義をしていないことです。
出席者に何かを教えるというのではなく、指名された人が、自分の知識を披露して、足りない部分や稚拙な箇所について再確認をして、そのことを自分自身で気が付いて欲しいという意図を感じます。
それと進行役のところで説明をしましたが、出席者に突然指名をすることで、説明者に緊張感を与える効果があります。
そして、突然指名された人が、短時間でテーマについて説明する内容について、緊急に説明内容を整理する必要があります。これは、噂話的な知識ではできません。結果、相応の高度な説明力が求められるということです。
さらに、アルバイトは、毎週火曜日の午後2時半から開始、セミナーは、午後2時半から90分間行われることになっています。この時間に出席できるのは、パート勤めか、専業主婦に限定されます。少なくとも正社員として働いている人のほとんどは、この時間ではセミナーに参加できません。それで、鈴木さんは、パート勤めの女性に限定していると、私は理解しました。」
「事務室の壁には『事実を正直に語る!』と書いたポスターが張ってありました。この内容は、完全に説明者を方向付けていると思います。軽薄で稚拙な知識では、説明にならないということを注意しているようです。
それで、噂話やSNSレベルの情報を説明の材料にしないように、念を押しているように感じています。
自分の体験や経験をもとに説明して欲しいということだと思います。
当然、セミナーの時間は、スマホは使うことができません。
説明不足の箇所があるかも知れませんが、以上です。」
「陽子さん、ありがとうございました。
質問や意見は、ありますか?」
「恵利です。自分なりの意見を言わせていただきます。
今までのセミナーや陽子さんの説明を聞いていて、鈴木さんは、何かを探しているような感じを受けました。
今後、成長を見守るような女性とか、どのように活躍をする女性とか、です。
勝手な推測ですが、私は、そのように感じました。」
「今日のセミナーは、これで終了します。」
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